星の杜の教育・インタビュー

星の杜の新たな教育とは

学校の存在意義(Purpose)に「創造と貢献」を掲げ、大きな学校改革を実践する星の杜中学校高等学校。そこには、教育分野における、同校の2人のキーマンの存在があります。

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石川一郎

宇都宮海星学園
理事・カリキュラムディレクター

「早稲田大学教育学部」卒業。N.Y.での海外生活の後「暁星学園」、「ロサンゼルスインターナショナルスクール」などで教鞭を執る。「21世紀型教育機構」理事や「知窓学舎」ミドルマネージャーなど現在、多くの学校教育改革に関わる。

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佐藤真紀子

ラーニングクリエイトチームマネージャー

宇都宮海星女子学院高等学校卒業。大学ではフランス語を専攻し、フランス語と英語の教員免許を取得。仏文科専攻のきっかけはフランス料理に興味があったため。ラーニングクリエイトチームのマネージャーとして生徒に真の「学び」を提供する。

社会で活躍するための非認知能力を伸長する、教科学習と探究学習を実践

新しい学校教育を実現するブルームタキソノミーをベースとした「星の杜メソッド」を実践する、星の杜中学校・高等学校。同校の教育改革のキーパーソンとなる、カリキュラムディレクターと理事を兼任する石川一郎氏と、ラーニングクリエイトチームのマネージャーを務める佐藤真紀子教諭に、次世代に向けた、これからの星の杜の学校教育について、対談していただきました。

さまざまな“学び”を通じて生徒の視野を広げていく

佐藤 日本の文部科学省の学習指導要領は、ブルームタキソノミーを意識して作られたものですが、なぜかそれを公的に使うという認知がされていないのが現状ですよね。

石川 そうなんです。記憶・理解・応用・分析・評価・創造からなるブルームタキソノミーは、知識だけで覚える教育を問題視し、何をどうしたら知識以上のことを学べるのかを整理した、教育の目標を分類したものです。残念ながら現在の日本の学校の授業では、初動となる情報収集で終わってしまい、情報を整理し、どう使うかができていません。そこで当校が独自の授業改革として提案したのが、学校に属していながらも、社会に出ていく準備となる「星の杜タキソノミー」というカリキュラムです。

佐藤 当校では、この「星の杜タキソノミー」をベースに“認知×非認知×デジタルの実践”で構成された「星の杜メソッド」を推進してきました。点数や偏差値がメインだった学校生活に、自分の価値を見出し、新しいものを生み出す力を組み込んだカリキュラムとして、さまざまな“学び”を生徒たちに向けて提案しているところです。

石川 探究学習ばかりでなく、フィールドワークやICT、講話や講座も多く設けていますよね。

佐藤 はい。世の中の違和感に気づき、自分ができることは何かを落とし込み、解決に向けてチャレンジする力が“チェンジメーカー”の育成にもつながると考えています。特に講話や講座の面においては、世界的に活躍されている著名な方々を招き、職業観や人生観を通じて、自分がどう成長していきたいか、将来的な視野を広げられる機会を提供しています。この学校にとどまらずに、より多くの社会とつながりを持たせられる“学び”を創ることが、私たちラーニングクリエイトチームの役目。生徒たちには、もっと外の世界とふれあえる場を、与えてあげたいと思っています。

時代の変化に合わせて教育者も“チェンジメーカー”に

石川 今は「あなたには何ができるか」と自立が求められる社会になってきましたよね。そもそも私たち世代が受けた教育が、今も通用するわけがないんです。ルールを守るのが最優先の教育ではなく、当校が世の中の動きに合わせた独自の教育を採用しているのは「何のための学校か?教育か?」という問いに対し「生徒たちが幸せになるため」という答えに尽きるからです。

佐藤 そこに必要となるのが、現代社会にかかせないデジタル教育ですよね。

石川 そうなんです。生徒たちが“チェンジメーカー”になっていくように、私たちも“チェンジメーカー”にならなければいけません。今年度から担任制ではなく、チーム担任制にしたことも、教員側としても初めは戸惑ったことと思います。実践している学校も、日本ではまだ少ないですしね。でもチーム担任制は、生徒が自分に合った教員を見つけられるだけでなく、働き方改革の面でも、教員の精神的負担の軽減につながります。服装の自由化にしても、これまで「制服をきちんと着せないといけない」という教員と「きちんと着ないといけない」という生徒間にあった“監視する監視される”という余計なエネルギーがなくなったことで、新しい関係が生まれたんじゃないでしょうか。

佐藤 はい。学校生活を縛っていたものを一掃し、解放したことで、生徒一人ひとりがそれぞれに自立を考えるようになったように感じます。学校生活のなかでいろいろな選択肢の幅が広がり、表情を表に出せる生徒が増えて、活気づきましたね。

未来を創る人間を育てる新しい学校教育を

石川 本来、教育というものは学校のためではなく、その子の幸せや世の中を良くしようとするものじゃないですか。はっきり言ってしまえば、進学実績なんてどうでもいい。どの大学に何人受かりましたかよりも、学校生活がその子にとって楽しく、何より自分自身を見つめることのできる時間であってほしいですよね。

佐藤 ええ。私たち教育者は、学校の利益になるような都合のいい人間を育てるのではなく、未来を創る人間を育てていくべきだと思います。その子がもつ能力を見出し、高めていくのが学校の役割です。私たちは、この学校に通う生徒たちと一緒に、学校生活を楽しみたいですし、サポーターとしてやりたいことを叶えてあげたいですね。

石川 時代に沿った新しい価値観で、未来を創る“チェンジメーカー”である生徒たちと共に、星の杜を創っていきましょう。

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